7/8日はガンダムの日
……らしい。
ほぼ物心ついてからだいたいずっとガンダム好きで、今年3x歳になるというのに今日初めて知った。
多分RX-78の型番からなんだろうけど、正式なやつなのかな。
今日は7月8日です pic.twitter.com/3kG3C8AV6i
— よんたま (@zuber_49) 2021年7月8日
……というわけで、おもむろに積みの山からどこのご家庭にもあるHGUC191番の初代ガンダムを引っ張り出す。
こいつは5年前くらいにフルリニューアルされたキットだが、実売1000円程度のお手頃価格でグリグリ動く。
流石にジャベリンやハンマーなんかはないが、ハイパー・バズーカもついてるし、ご丁寧にビームライフルのサイトや肘、膝のマルイチモールドまでキチッと色分けされてる。いいキットだ。どうせならアンクルアーマーのとこもやっといてほしかった。
この191番のキットもそうだが、昨年話題になったEG、RGに旧HGUC、絶版となった過去のHGと、1/144の初代ガンダムというのは概ねファーストガンダム劇中の作画に寄せた奥まったダクトに柔らかなフォルムの仕上がりになるキットが多い。
組み立てるだけで劇中のフォルムのガンダムが仕上がる。しかもEGならアホみたいに簡単でニッパーすら要らないときた。
……が、違うのだ。
僕が憧れたのは、アニメの劇中のガンダムではない。
そんな違和感を抱えながら今まで過ごしてきた。
そして2021年の今、ふと思う。
下手くそなりに色々やってきたし、今なら昔は持っていなかった工具類やら塗装ブースやらもある。
「今なら、俺の手であのガンダムを作れるんじゃないか?」
というおはなし。
そもそもの話、僕はもう毎日腰も痛いし頭痛いし目も痛いし白髪も気になるし結婚相手どころかパワプロでいうところの彼女候補すらおらず、低賃金で毎日インターネットを作らされているうえになけなしの稼ぎをソシャゲに吸われているどうしようもないオッサンだが*1、さすがにファーストガンダム世代ではない。
ファーストのアニメ本編はTV版も劇場版もガキンチョの頃に兄貴から半ば強制的に観せられていたわけだが、正直なところ、ホワイトベースのクルーたちが織りなす人間模様なんかにはガキンチョながらになんとなく感じ入るものはあったものの、「なんかモビルスーツはジオンの方がかっこいいな……」と思っていたのも事実だ。*2
そんな僕が少年の頃、初めて「このガンダム、なんかカッコいいな!」と感じたRX-78はというと、おもちゃ屋の棚の最上段に鎮座する"パーフェクトグレード"だった。
Wikipedia 曰く、
「本物」、「究極のガンプラ 」の具現化をコンセプトに、内部メカニズムの再現、精密なパーツ分割、電飾パーツの採用など、当時の最新技術を投入したモデルとして開発された。
とある。*3
より工業機械、兵器のようなフォルム。緻密な各部のディティール。「これだ!」と思った。となればあとは交渉である。
オカン、オカンはどこだ。
「…ねえ、誕生日かクリスマスかさ、あれ欲しいんだけど」
「いや高っ。12,000円もするじゃないの。だいたいその手に持ってるのは何?」
念願叶ってようやく買ってもらえることになったゲームボーイカラーだった。僕はゲームっ子でもあった。
ポケモンの新作がやりたかった。
そんなわけでいつしか(V-)G-W-Xと続いてきたTV放映の断絶とともにガンプラ熱も無意識のうちに冷めかけていた僕はあっさりとパーフェクトグレードを諦め、部屋に散らかっていたガンプラもまとめて近所の子の弟さんにあげてしまい*4、半年があっという間に過ぎた。
そして1999年7月、ファーストグレード「RX-78-2 ガンダム」発売。
どこでその報を知ったのかは今となってはもうよく覚えていないが、衝撃を受けた。
これ、あのパーフェクトグレードのガンダムじゃないか!
それが置いても怒られなさそうな1/144サイズで?
しかも何これ、300円??
ミニ四駆もやめて、しばらく敷居を跨いでいなかった地元の模型店の暖簾を久々にくぐる。
そこにあった。"1/144のパーフェクトグレード"が。
少ない小遣いは握りしめてきた。
買える。
買うぞ。
買った。
「あの憧れのガンダム」を!
ウキウキでレジに持って行く。
待ちきれずに、普段は殆ど会話をしないレジのおっちゃんに声をかけてしまう。
「あの、すみません、これ、中身…ちょっと見せてもらってもいいですか?」
「いいよ。最近じゃ少なくなったけど、成形不良とかあっても困るしね」
おっちゃんは案外優しかった。*5
緊張しながら箱を開ける……開いた。
えっ?何?
なんだ、これは?
箱の中には確かにあった。待ち望んでいた、「1/144のパーフェクトグレードのガンダム」が。
真っ白で、ついでにめちゃくちゃパーツの分割が大雑把な、パーフェクト?グレード?が。
「あの…これ、ポリキャップがないし全部真っ白でシールも入ってないんですけど……」
「これはまあ、そういうキットだからね…」若干予想通りの反応だったのか、淡々と話すおっちゃん。
「まあ最近のキットみたく仕上げようってんなら、最低限塗装はしないとダメだろうなあ。」
おっちゃんの呑気な声が遠くに聞こえる。
「あの、やっぱこれやめてこっち買います……」
……初代HGUCグフの前身とも言える名キット、旧HGグフカスタムだった。ちなみに当時は本編未視聴。
……それから時は流れて、今。
塗装環境はある。
工具もあるし、取り扱いにもまあまあ慣れてきた。
なんなら、関節ひっぺがして移植できるだけのジャンクパーツ群もある。
やるぞ。おれはやるぞ。
改めてファーストグレードの箱を開ける。
あの時と変わらない白一色の箱の中。
…………
「あっ、これ冷静になって見てみるとたぶん胸ダクトがなんとなく別パーツっぽくなってるのとランドセルのディティール密度がいい感じなのが好きだっただけで他は普通に今時のHGUCとかの方がいい造形してんな……」
フル可動化しようとして妥協してしまった。僕は大人になっていた。
大人になるって悲しいことだよね。
23年前の、ファーストグレード組もうとしてとして真っ白すぎて諦めた僕へ。
— よんたま (@zuber_49) 2021年7月8日
20年以上経っても大して出来る事は変わってないけど、とりあえず、子供騙しレベルの工作くらいはできるようになったっぽいぞ。
23年後の僕より。#ガンダムの日 pic.twitter.com/6LBLvpDr53
(わりと感傷に浸りながらツイートしたら普通にしょぼい誤入力があって泣いてしまった。)